マレーシア大学・大学院留学ガイド

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なぜ、マレーシアの大学が注目されているか?

1. ほぼ全ての大学で、英語で授業が行われること

マレーシアの大学では、公立大学の一部の学部でマレー語が使用されることもありますが、私立大学の授業は原則としてすべて英語で行われます。

また、学生間の日常会話もほぼ英語が使われており、マレーシアは英語が第一言語の国ではないものの、欧米と同様の環境で学ぶことが可能です。

2. 学費、生活費の合計が年間約150万円〜と格安なこと

マレーシア留学の大きな魅力のひとつが、リーズナブルな学費と生活費です。この円安下でも、年間授業料が70万円〜生活費80万円程度、つまり総費用150万円程度〜の費用で正規留学が可能となります。

場合によっては、日本で親元を離れて、大都市圏の私立大学へ通うより安上がりと言えるほどです。

ここ数年の日本円の下落により欧米、カナダ、豪州などへ正規留学するのは多くの家庭にとって経済的に極めて困難になっていますが、マレーシアはまだ何とか海外正規留学という夢を叶えてくれる貴重な国と言えます。

3. 他の先進国大学の学位を取得する制度が発達していること

マレーシアには、イギリス、オーストラリア、米国などの先進国の大学の学位が取得できる制度が発達しています。それらには、海外大学マレーシア分校、ツイニングプログラム、デュアルディグリー、編入などの各制度があります。

この制度により、マレーシア国内だけで先進国大学の学位を取得することや、途中から実際にこれらの大学へ編入し学位を取得することが可能です。いずれのケースも、コストを抑えつつ国際的な学歴を取得できるため、多くの学生にとって大変魅力的な制度です。

例えば、有名な海外大学マレーシア分校としては豪州モナシュ大学マレーシアが挙げられます。モナシュは豪州でトップ5に入る名門大学で、世界ランキングも30位台(QS世界大学ランキング2025)と日本の東京大学とほぼ同ランクですが、マレーシア分校の入学基準は比較的緩く、日本の高卒生にとっても入学難易度は高くありません。卒業時の学位も豪州本校と同一の学位が取得できます。

また、2024年には日本の筑波大学マレーシア分校を開校したことが、日本およびマレーシアで大きな話題となっています。

4. 入試はなく、成績や英語の合格基準がゆるいこと

マレーシアの大学への入学には、日本のような厳しい入学試験がありません。高校時の成績基準や、比較的ゆるい英語基準をクリアすれば、多くの大学で入学が可能です。つまり、卒業証明書、成績証明書、英語試験証明書(IELTS、TOEFLなど)だけの書類審査で合否が決まります。

また、英語力が大きく不足している生徒は、学部入学に先立ち英語集中コースで英語力を上達させるシステム(いわゆるELS)も整っています。

これにより、挑戦を迷っている学生や、成績や英語に不安がある人も留学に挑戦しやすい環境が整っています。学ぶ機会を多くの人に開放している点もマレーシア留学の大きな魅力です。

5. 年に何度も入学時期があること

マレーシアの大学は入学時期が年に数回設けられており、例えば1月、3月、5月、9月などの各時期に開講日が設定されています。これにより、学生は自分の準備状況に合わせて柔軟に入学時期を選べるため、留学計画の立てやすさも大きなメリットです。

日本の高校生であれば、ほとんどの場合、高校卒業年内にマレーシアの大学へ入学できることになります。

6.多文化、多様性(ダイバーシティ)の高い学習環境

マレーシアは多民族国家であり、それぞれマレー系、中国系、インド系の3民族のマレーシア人学生と交流する機会が豊富です。それに加え、どの大学もアジア各地、中東、アフリカ、ヨーロッパなどからの留学生も多く、更に多国籍で多文化の環境を提供しています。

このダイバーシティに富んだ環境で学ぶことで、異なる文化や価値観に対する理解力が深まり、柔軟な思考を養うことができます。多様な視点を持つ人々と関わることで、国際社会で必要な共感力や協調性も身につけられる点が魅力です。

例えば、アジアパシフィック大学(APU)は、留学生比率が50%と、マレーシアで最も留学生比率の高い大学として知られています。

7.親日的で治安の良い安全な生活環境

過去にマハティール元マレーシア首相の提唱した「ルークイースト政策」(日本の経済成長に学ぼうとする政策)も寄与して、マレーシアは世界有数の親日国家です。街のあらゆる所に、多数の日本製品が見られ、日本のショップ、レストランで溢れています。

また、マレーシアは日本と異なり自然災害も少なく、社会治安も安定しており、世界平和指数(Global Peace Index=GPI)2024年では日本の16位に対し、世界10位という高ランキングを獲得するまでに至りました。

基本的に若いお子様をひとりで海外に出す海外留学においては、親日度や治安は最も大切な要素の一つと言えます。

8.日本とのアクセスの良さ

マレーシアは日本との行き来に航空機で6-7時間かかるので、必ずしも日本に近い国とは言えませんが、時差は1時間だけですので、日本の家族や友人と時差を意識せずコミュニケーションを取ることが可能です。

また、格安航空エアアジアが日本の主要都市とクアラルンプールを結んでいるため、往復3-5万円で両国間を行き来することが可能です。(季節や予約のタイミングで料金は変動します。)学校の休暇時、お子様が日本に帰国することや、逆にご家族がマレーシアに来られることも容易となります。

よって、日本ーマレーシアの実際の距離以上に、マレーシアは身近な国と感じることでしょう。


マレーシアの大学の種類

公立大学

現在マレーシアにはマラヤ大学(UM)、プトラ大学(UPM)など約30の公立大学が存在します。ただしこれら大学では、ブミプトラ政策のもと、マレー系マレーシア人(ブミプトラ)を優遇して入学させており、他民族系マレーシア人や留学生の入学は制限しているため、入学障壁が比較的高く、入学基準に公正さや透明性を欠いていると言えます。

また、マレー系マレーシア人が全生徒数の70-80%を占めるため多様性に乏しく、充実した海外留学や学生生活をする上ではあまり適した環境とは言えません。

また、留学生の入学手続きなどに関しても、大学側のサポートは非常に限定的で、大きなストレスになる可能性が高いと言えます。



【主要な公立大学(QS世界ランキングに基づく上位5校のみ)】
Table

大学名 QS世界ランキング2025 THE世界ランキング2025
マラヤ大学(UM) 60位 251-300位
マレーシア国民大学(UKM) 138位 401-500位
マレーシアサインズ大学(USM) 146位 401-500位
プトラマレーシア大学(UPM) 148位 601-800位
マレーシア工科大学(UTM) 181位 401-500位


私立大学

現在マレーシアには40を超える私立総合大学が存在します。基本的に授業は全て英語で行われます。どの大学も留学生の受け入れには積極的で、様々な学部があり成績基準や英語基準もさほど高くないため、日本人生徒の受け入れ先として中心に位置づけられます。

また先進国の大学との提携も盛んで、これら大学への編入や学位取得を目指す場合も、マレーシアの私立大学が入口となります。



【主要な私立大学(QS世界ランキングに基づく上位校のみ)】
Table

大学名 QS世界ランキング2025 THE世界ランキング2025
テイラーズ大学(Taylor's University) 251位
UCSI大学(UCSI University) 265位
INTI国際大学(INTI International University) 516位
サンウェイ大学(Sunway University) 539位 401-500位
マネジメント・サイエンス大学(MSU) 580位 801-1000位
アジアパシフィック工科・イノベーション大学(APU) 611-620位

政府関連企業が保有している「準私立大学」と呼べるものは除外してあります。(例えばペトロナス工科大学、マルチメディア大学等)

海外大学分校

現在マレーシアには10大学を超える海外大学マレーシア分校が存在します。クアラルンプール近郊では、豪モナーシュ大学英ノッティンガム大学が有名です。また、2024年には日本の筑波大学もマレーシア分校を開校しました。

海外大学マレーシア分校は、一般的に、マレーシアや日本の大学と比較して世界的な知名度や世界ランキングも高いので、マレーシアのインターナショナルスクール卒業生はもちろん、日本の高卒生からも非常に高い人気があります。

ただし、大学により学部入学に先立ちファンデーションコースの受講が義務付けられており、英語基準もマレーシアの大学に比べ多少高めですので、十分な対策が必要です。



【海外大学マレーシア分校】
Table

大学名 QS世界ランキング2025 THE世界ランキング2025
豪州モナシュ大学マレーシア校 37位 54位
英国サザンプトン大学マレーシア校 78位 111位
英国ノッティンガム大学マレーシア校 108位 136位
英国ニューカッスル大学(医学部)マレーシア校 129位 168位
英国カーティン大学マレーシア校 160位 251-300位
豪州ウロンゴン大学マレーシア校 162位 201-250位
英国レディング大学マレーシア校 229位 201-250位
英国ヘリオット・ワット大学マレーシア校 281位 251-300位
英国スウィンバーン工科大学サラワク校 285位 301-350位
筑波大学マレーシア校 377位 351-400位
中国厦門(アモイ)大学マレーシア校 442位 401-500位




マレーシアの大学のコース、プログラムの種類

英国支配が長かったマレーシアでは、大学の学位制度は基本的に英国の制度と類似しています。主として下記のコースが存在します。

バチェラー(Bachelor)またはディグリー(Degree)コース

Bachelor Degree(バチェラーディグリー)は、日本の「学士課程」(4年制大学卒業)に相当する学位で、単にDegree(ディグリー)とも言われます。

マレーシアの私立大学の場合、通常、文系学部やIT系学部は3年、工学系学部は4年(医学部は5年)の履修で取得可能です。

日本の高校卒業資格は、ほとんどのマレーシアの私立大学で直接ディグリーに進学できる資格とみなされています。

ディプロマ(Diploma)コース

ディプロマは日本の「准学士課程」(短大卒)に相当する学位です。ほとんどの場合、2年間で取得できる学位です。

日本人学生が最終的にディグリーの学位を目指す場合でも、英語力、学力に自信がない場合、あるいはディグリーの合格基準に満たない場合、まずディプロマコースに入学し、その後ディグリーに編入するという方法もあり得ます。その場合、通常ディグリーの2年目から編入することになり、トータルの履修期間はで4年間となります。

直接ディグリーに進学するのに比べ、1年間長くなりますが、余裕を持って基礎から学習したい、または実習を多めに行いたい、と考える方にとってはお勧めの進路となります。

プレU(Pre-U)コース

プレUコースは通常「大学準備課程」と訳され、ディグリーコースの前に受講する1-2年の短期プログラムです。この中には、海外の公的機関が認証する資格が多く、マレーシアでは「Aレベル」(英国ケンブリッジ大学)、「IBDP」(国際バカロレア)、「SACE」(南豪州)、「ASMAT」(西豪州)、「CIMP」(カナダオンタリオ州)などが主流です。

プレUコースは主にインターナショナルスクールの「Oレベル」を修了した生徒が進学するコースですが、日本の高卒の生徒も学部に先立って受講する場合があります。特にサンウェイカレッジのCIMPはサンウェイ大学やモナシュ大学に進学希望の生徒が受講するプレUコースとして人気があります。

プレUコースは、通常マレーシアの「カレッジ」に付属したコースです。ちなみに、マレーシアの「カレッジ」と「ユニバーシティ」の違いですが、カレッジはこのプレUコースや下記のファンデーションコースを専門的に扱う学校種別で、ユニバーシティがディグリー以降の全てのプログラムを扱う学校種別となります。なお、カレッジがツイニング(後述)のディグリーコースを提供している場合もあります。

ファンデーション(Foundation)コース

ファンデーションコースは通常「大学基礎課程」と訳され、ディグリーコースの前に履修する約1年間のコースです。通常カレッジに付属しています。

通常、総合大学であれば、それぞれ文系と理系のファンデーション、あるいは、さらに細分化したファンデーションコース(例えばビジネスファンデーション、ITファンデーション等)を提供しています。

マレーシアでは、日本の高卒資格は通常ディグリーコースに直接入学できる資格として認知されていますが、ディグリーの合格基準を満たしていない場合、英語力や学力のギャップを埋めたい場合、また、留学開始時点で志望学部が決まっていない場合など、ファンデーションを経由することも一般的です。

また、いくつかの大学のディグリーコースでは、事前のファンデーションコースまたはプレUコースの履修が義務付けられている場合もあります。(ノッティンガム大学やヘリオットワット大学など)

また、原則ファンデーションコースに先立って英語集中コースを受講することはできません。(「英語集中コース」の項ご参考)

なお、本来「ファンデーションコース」と上記の「プレUコース」は別種のコースになりますが、位置付けとしては非常に類似していますので、広義の意味ではこれらをまとめてプレUコースまたはファンデーションコースと呼ぶ場合が多いです。

マスター(Master)コース

日本の大学院修士課程に相当する1-2年間のコースです。

日本の大学を卒業したが英語力も専門知識も身に付かなかった、もしくは、大学と異なる分野のマスターコースを経てキャリアチェンジをしたい、という学生や社会人がマレーシアの大学院を志望する例が増えています。

最近では、100%オンラインのMBAコースも一般的になり、日本でお仕事を続けながら有名大学のMBA資格を取得することも可能になっています。

英語集中コース(Intensive English Program)

通常マレーシアのディグリーコースやディプロマコースに入学するためには、これらコースの基準を満たすTOEFLやIELTSのスコアを保有していることが条件になります。ただし、これら水準を満たしていない学生は、ディグリーやディプロマコースの前に大学付属の「英語集中コース」を受講し、現地で英語基準を達成することを条件に入学が認められる、というシステムがあります。(条件付き入学)

日本の高校卒業者のほとんどは、これら英語スコアを保有していないか、スコアがあっても合格水準を満たしていないため、学部コースの前に英語集中コースを受講するのが一般的です。

なお、過去にはファンデーションへ入学する前にも英語集中コースを受講することが可能でしたが、2020年以降は原則これが不可となりました。(大学によっては可能な場合もある。)

また、ファンデーション入学の条件としてIELTS水準を定めたり(例えば4.0程度)、独自のオンライン英語試験を実施する大学もあります。あるいは英語基準は一切なく、ファンデーション入学後、規定の英語クラスを受講すれば良い、という大学もあります。


マレーシアの大学への進学ルート

下記図にあるように、通常日本の高校を卒業した場合、(一部の大学、学部を除いて)合格基準を満たせばマレーシアの大学の「バチェラーディグリーコース」へ直接進学することが可能です。

ただし、ディグリーの合格基準を満たせなかった場合、より条件がゆるい「ディプロマ」や「ファンデーション」を経て、ディグリーに編入することも可能です。ディプロマ経由の場合はディグリーの2年目から、ファンデーション経由の場合はディグリー1年目からの編入になります。(どちらの場合も計4年の履修)。

なお、入学時点でTOEFLやIELTSの英語基準に達しない場合(またはスコアを保有していない場合)、学部コースの前に「英語集中コース」を受講することになります。受講中、現地でIELTSなどの英語試験を受験し、所定の英語基準を達成後、ディグリーやディプロマコースへ編入することが可能です。どの程度の期間英語コースを受講するか、英語基準の高さや個人差よって3-12ヶ月程度となります。
(下記「マレーシアの大学の入学基準」も参照。)

進学パターン

なお、インターナショナルスクール(主として英国式カリキュラム)のセカンダリースクールを終了して大学へ進学する場合は、プレUコース(AレベルコースやIBディプロマコース)あるいはファンデーションコースを受講後、ディグリーコースに編入することになります。

マレーシアの大学の海外大学提携・編入制度

ツイニングプログラム(Twinning Program)

マレーシアの私立大学が、海外の特定の大学と提携関係にあり、原則、前半をマレーシア、後半を海外提携校で勉強することにより、海外提携校の学位が取得できるというシステムです。クレジットトランスファー(編入)制度の一種とも言えます。提携校は主として英国と豪州の大学となります。また、ホスピタリティ学部ではスイスの場合もあります。

ツイニングプログラムは「マレーシアでの履修年数+提携校での履修年数」という表現を使い、「2+1」「1+2」「3+0」などと呼ばれます。「3+0」の場合は、マレーシアでの履修だけで海外提携大学の学位が取得できます。

なお、「2+1|や「1+2」など、実際に海外大学へ編入する場合、編入先の学費や生活費を払うため、「3+0」の場合に比べ費用負担は大きくなることにご注意ください。

【ツイニングプログラムの例】
Table

マレーシア大学学部 提携大学 期間(年)
HELP大学ビジネス系学部 豪クイーンズランド大学 2+1
セギ大学ビジネス系学部 英グリニッジ大学 3+0
INTI大学ビジネス系学部 英ハートフォードシャー大学 3+0
INTI大学ビジネス学部 豪スウィンバーン工科大学 3+0
UCSIホスピタリティー学部 スイスGlion Institute of Higher EducationまたはLes Roches Global Hospitality Education 2+1
サンウェイ大学(カレッジ)・ビジネス学部 豪ビクトリア大学 3+0, 2+1, 1+2
その他多数


デュアル(ダブル)ディグリープログラム(Dual Degree Program)

ツイニングプログラムの取得学位が、あくまで海外提携校の単一学位であることに対し、デュアルディグリープログラムでは、マレーシアの大学と海外提携校の両校の学位を取得できることが特徴です。デュアルディグリーは、通常マレーシアでの履修だけで卒業時に2つの学位が取得できるという魅力的なシステムです。

学費も基本的にマレーシアの大学の授業料を3年間支払えば良いので、莫大な費用をかけて海外大学へ編入する必要はありません。(稀に提携大学に編入することが条件のデュアルディグリーもあります。)

バチェラーコースだけでなく、マスターコース(大学院)もデュアルディグリーになっている場合があり、マレーシアで1.0-1.5年勉強するだけで、マレーシアの大学院と海外大学院の両学位を取得できる場合があります。

【デュアルディグリーの例】
Table

マレーシア大学学部 提携大学 期間(年)
テイラーズ大学ビジネス系学部およびIT系学部 英ウエストイングランド大学 3
セギ大学多数の学部 英セントラルランカッシャー大学 3
セギ大学ビジネス系学部 英グリニッジ大学 3
INTI大学ビジネス系学部 英ハートフォードシャー大学 3
サンウェイ大学多数の学部 英ランカスター大学 3
サンウェイ大学ホスピタリティー・料理学部 仏ル・コルドンブルー 3
UCSIホスピタリティー学部 スイスHTMI 3
APU大学の大半の学部 英ドゥモントフォート大学 3
その他多数


編入プログラム(Credit Transfer Program)

マレーシアでの取得単位を海外大学にトランスファー(移行、編入)することができる制度です。

編入プログラムの代表格が、「米国大学編入制度」(ADP=American Degree Transfer Program)で、主として前半2年をマレーシアで、後半2年を米国またはカナダの大学で履修する(2+2)ことにより米国またはカナダの大学の学位を取得できるシステムです。また、「2+2」以外に「1+3」、「4+0(マレーシアのみ)」の場合もあります。

なお、ツイニングおよびデュアルディグリーでは最初から特定の提携校とその学部の組み合わせが決まっているのに対し、ADPでは編入先は原則オープンであり、米国やカナダの多数の大学が選択肢となるのが特徴です。(ただし、「4+0」のADPでは提携大学があらかじめ決まっている。)

ちなみに、米国の4年制大学へ編入する割安な方法として、米国の「コミュニティーカレッジ(コミカレ)」(2年)を経由する方法が知られていますが、マレーシアのADPを利用する手段は、留学費用を更に抑えることができる点で魅力的と言えます。

ツイニング、デュアルディグリー、ADPいずれの場合も、マレーシアでの割安な学費と生活費を活用しながら、先進国の大学の学位が取得できることが魅力です。

⇒ADPの学部を検索する

交換留学(Exchange Program)

多くの大学に交換留学制度があり、ディグリーコースの2年目または3年目に、1セメスター(6ヶ月)または2セメスター(12ヶ月)まで協定校に留学して単位履修することが可能です。

実際に編入する場合と異なり、交換留学では通常その間の授業料は在籍校に所定の授業料を払えば良いので、比較的割安な短期留学となります。(ただし、寮費や生活費は負担する必要があります。)

通常、交換留学で取得した単位も在籍校に移行することができますので、在籍校の卒業時期が遅れることもありません。ただし、交換留学生の資格を得るためには、在籍校で一定の成績水準(GPA)や英語スコアを要求される場合があります。

交換留学先の国や大学は、在籍校によって異なりますが、例えばテイラーズ大学では10カ国以上の200以上の大学が交換留学の協定校となっています。


マレーシアの大学の入学時期

日本の大学のほとんどが4月入学なのに対し、マレーシアの大学はどこも年に2-5回程度入学可能な時期(Intakeと呼ばれる)があります。

また英語のスコアが入学基準を満たしていない場合、学部コースに先立ち英語集中コースを受講するため、入学期は英語集中コースの開始日となることが一般的です。英語集中コースの開始日は、ほぼ毎月設定されている大学も多くあります。例えばAPUでは年12回(毎月)英語コースの開始日がありますし、ヘルプ大学でも年7回ほど開始日があります。

したがって、日本の高校生であれば、ほとんどの場合、高校卒業年内にマレーシアの大学へ入学できることになります。


マレーシアの大学の入学基準

マレーシアの大学では、主に成績基準と英語基準の2つの要件に基づいて書類審査が行われ、合否が決定されます。日本の大学のような入学試験は基本的になく、書類のみでの審査となります。

A. 成績基準

日本の高校を卒業した日本人学生の場合、マレーシアの大学入学に求められる成績基準は以下の通りです:

  1. 日本の高等学校の卒業資格があること
  2. 一定以上の成績を取得していること

これらの条件を満たすことで、日本人学生は比較的有利に審査を通過することが可能です。マレーシアの現地生や他国の留学生に対しては厳しい条件が課されることもありますが、日本人学生はこの2点を満たせば十分とされています。

-成績要件の具体例

大学や学部により求められるスコアは異なりますが、多くの文系学部(ビジネスやホスピタリティ学部など)では、以下のいずれかの基準で合否の判定をします:

  1. 評価3(5段階評価)以上の科目が5科目以上ある
  2. 全科目の平均スコアが2.7-3.5以上である(一部除外科目あり)

IT学部や理系学部では、上記よりも若干高い基準が求められることがあり、数学や理系科目の単位提出が義務付けられている場合もあります。また、日本の高校の難易度や偏差値、有名校かどうかは考慮されず、成績表のスコアのみで審査されるのが一般的です。

B . 英語基準

マレーシアの大学では学部や専攻によって異なる英語基準が設けられていますが、一般的な基準は以下の通りです:

  • ディグリー:IELTS 5.0以上
  • ディプロマやファンデーションコース:IELTS 4.0以上

ほとんどの大学で、TOEFLの換算スコア(各大学の定める)でも代用できます。

上記の基準に満たない場合でも、大学の英語集中コースを受講することで入学が可能です。現地でIELTSなどを受験し、英語基準を満たした時点で、次の学期から学部に進学することが可能です。

このシステムは、英語に不慣れな日本人学生にとっても負担が少なく、入学後のスムーズな学業開始に役立ちます。入学前に英語力を向上させておくことも望ましいですが、事前に高い英語力が求められるわけではありません。


【入学基準の例】

Table

コース 成績基準 英語基準
ファンデーション(プレ-U) 評価3以上が5科目以上
(3年時成績、5段階評価)
IELTS 4.0
ディプロマ 評価3以上が3科目以上
(3年時成績、5段階評価)
IELTS 4.0
(未達の場合は英語集中コースへ入学可)
バチェラーディグリー 全科目平均で3.0以上
(3年時成績、5段階評価)
IELTS 5.0
(未達の場合は英語集中コースへ入学可)

(注)これは平均的な私立大学の文系学部(ビジネス、ホスピタリティ等)における入学基準のサンプルで、全ての大学に当てはまるものではありません。実際はこれより基準が高めの大学や低めの大学もあり得ます。


高卒認定資格について

「高卒認定資格(旧大学検定)」の場合、全ての大学で必ずしも受理されるわけではありませんが、今のところ弊社を通じて出願された生徒様は全員、入学許可を得ていますので、ぜひご相談ください。

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マレーシアの大学の世界ランキング

世界大学ランキング「QSランキング2025」におけるマレーシア大学と日本大学の比較表を作成しました。
ただし、「マレーシア大学」にはマレーシアにある海外大学分校とマレーシア大学で取得できる海外大学の学位も含めました。(例えば、サンウェイ大学で学位が取得できる英ランカスター大学」等)
なお、マレーシアの公立大学(国立大学)としては、下記表より実際は多くの大学がランクインしていますが、入学ニーズも限られていますので、上位3大学のみ掲載しています。日本の大学も、実際はより多くの大学がランクインしていますが、主要大学のみを掲載してあります。


QS World University Ranking を基にして弊社作成

なお、大学ランキングのコーナーでもマレーシア大学の国内外ランキングを複数紹介しています。

有望学部例

マレーシアの大学も日本や他の先進国と同様、多数の学部選択肢がありますが、参考までに下記に今まで弊社での取り扱いの多かった学部をご紹介します。


ホスピタリティ(ホテル経営)、ツアリズム(観光)

  • ホスピタリティ(ホテル経営)、ツアリズム(観光)、カリナリー(料理芸術)学部は、日本の学士号課程(4年制)マレーシアのほとんどの大学で主要は学部
  • ホスピタリティは日本語では「おもてなし」と訳されますが、マレーシアでは主に「ホテル経営学」という理論・学問
  • カリナリー(料理芸術)もマレーシアではひとつの立派な学士(大卒)として確立されている
  • これらの学部の魅力はハラル(ハラール)というイスラム教の習慣をベースとしたホスピタリティを肌感覚で勉強できること

ポストコロナ時代のインバウンド観光復興にも不可欠な知識、理論と言えます。欧米留学と差別化するという意味においてもマレーシアならではのオリジナリティのある選択肢です。


ビジネス経営学部

  • ビジネス経営学部は将来いかなる業種の職業についても必要となる理論、知識を提供
  • まだ将来の具体的職業志望が決まっていない生徒にもおすすめの学部
  • 日本の大学の経済・経営・商学部と同様、いわゆる「つぶしの効く学部」と言える

ほとんどのマレーシア私立大学にはビジネス経営系の学部がありますので、非常に選択肢の多い学部でもあります。


コンピュータ・IT学部

  • コンピュータIT系学部はどの大学でも人気学部の一つ
  • コンピュータIT知識はどの国でも共通の普遍的知識ですので将来の就職先は国や会社を選ばない
  • 日本には英語に堪能なIT技術者が少ないので英語でIT高等教育を受ける価値は高い

マレーシアは、IT産業の振興を国策のひとつとみなしており、多くの大学がITコンピューター学部に力をいれています。


ADP(米大学編入学部)

  • 将来的に米国の大学を目指す学生にはもっとも適した学部
  • 多くの私立大学にADP(あるいはADTP)というコース(学部)があり、その中からビジネス、コンピューター、エンジニアリング等の学科を選択
  • 通常マレーシアの大学で2年間、米国の大学で2年間学習し、米国大学の学位を取得
  • 米国の他、カナダ、豪州、NZの大学も対象となる場合がある

直接米国に留学するのに比べ、(当初2年間の)費用が割安になる、入学基準がゆるい、英語を段階的に学習できる、などのメリットがあります。




短期正規留学(休学留学)

上記のとおりマレーシアの私立大学の学部コースは、コースを終了する(通常3年間)ことを前提に設定されており、一部の協定交換留学を除いて短期(1年未満)の参加はあまり一般的ではありません。

ただし、通常の正規留学を「休学留学」に代用することも可能です。つまり正規の入学手続きで入学し、予定された期間終了後に退学という形をとります。マレーシアの大学は、入学金などもさほど高くないので、1年程度の短期留学でも大きな損失にはなりません。

休学(認定)留学の例はこちらをご覧ください。




マレーシア大学留学の費用

マレーシアの大学への正規留学の費用(学費と生活費の合計)は、マレーシア教育省によると年間USD1,200(160万円、1ドル135円換算)と試算されています。更に授業料の安い大学を選べばより低予算での留学が可能となります。

マレーシア大学留学の費用マレーシア大学留学の費用
出所:Education Malaysia Global Services HP





実際に当サイトに掲載されている大学の年間授業料を下記にグラフにしてみました。学部は比較しやすいよう原則ビジネス系学部の授業料に統一しました。(ただし、ベルジャヤ大学とYTLホテル国際経営大学の場合は、主力のホスピタリティ学部またはホテル経営学部の授業料とする)これら大学の学費を平均すると年間の授業料は約85万円となります。(30円/RMで換算)


本校とマレーシア分校の費用の差

マレーシアにはいくつかの海外大学の分校があります。また分校という形でなくとも、マレーシアの大学内にデュアルディグリーまたは3+0ツイニングという形で、海外大学の学位が取れるコースが設けられていることがあります。これらも実質的には分校に近い性格がありますので、これらを含め「分校」と「本校」で基本的に同一の学位をとるのにどれだけ費用がかかるか比較をしてみました。
なお、マレーシアの生活費は弊社サポート学生のヒアリングに基づく平均的な費用(月額RM2,500) としました。また、他の外国の生活費は、その国専門の留学エージェントの複数のウェブサイトを参照し、平均的な値をとりました。これらは完全に正確な試算とは言えませんが、相当な程度実態を表している試算だと思われます。
(円換算レート:1リンギ26.2円)

豪モナシュ大学(本校vsマレーシア分校)

英ノッティンガム大学(本校vsマレーシア分校)


*英国本校、マレーシア分校とも、日本の高卒の場合ファンデーションの受講が必須になっているため、卒業までには4年間を要します。

英ランカスター大学(本校vsサンウェイ大学)


*英国本校、サンウェイのランカスターコースとも、日本の高卒の場合ファンデーションの受講が必須になっているため、卒業までには4年間を要します。

これらを総合すると、マレーシアであれば本校の3-4割程度の費用で(金額で言うと1000-1200万円安く)、本校と同じ学位が取得できることになります。もちろん、「そんなの邪道だ、英国の大学なら英国のキャンパスに通って英国で卒業しなければ価値はない!」という方もいるかと思います。それが理想であることはわかります。ただ、「同じ物を得るのに、1,000万円も安いならそれでいいじゃないか!」という合理的な考えも成り立つと思います。コスパを追求するならマレーシア、ということです。

大学一覧

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