筑波大学マレーシアはマレーシア人より日本人に人気!?

先日からお伝えしている筑波大学マレーシアキャンパスについてですが、実は先日、実際にキャンパスを訪問しました。場所は以前お知らせしたとおり、パンタイというエリアにあり、マレーシアの「東大」とも言われるマラヤ大学も同じエリアにあります。実は、筑波大学マレーシアキャンパスは、マラヤ大学の一つのビルを借りて運営されている形です。

キャンパス訪問を通じて、様々な話を聞くことができました。まず、学位と学群についてです。筑波大学マレーシアキャンパスには、一般的な「学部」という区分はなく、「Bachelor of Arts and Science, School of Transdisciplinary Science and Design(文理学学士 学術サイエンス&デザイン専門学群)」という「学群」が提供されています。名前自体が英語でも日本語でも少し難解ですが、簡単に言うと、データサイエンスを基礎に、文理の区別を超えて、地球規模の問題に対処することを目指す学群です。科目は縦割りではなく、PBL(問題解決型学習)を取り入れ、学生が自分で課題を見つけ、クリエイティブな方法で解決を目指すという手法が中心です。マレーシアや日本でも非常にユニークな学群であると言えます。

このコースは4年間のプログラムで、1年目には日本の大学と同様一般教養科目も含まれており、マレーシアでは珍しいことに「体育」の科目もあります。授業は、英語と日本語で行われ、日本人とマレーシア人の両方の学生に対応しています。また、日本語の科目もあり、その授業では日本人生徒が先生役を務めることもあるため、日本人とマレーシア人生徒が和気藹々と勉強できる環境があります。

次に、多くの日本人が気になる「日本人学生を募集しているか?」という点ですが、結論は「Yes」です。マレーシアや他国で中等教育(インターナショナルスクール等)を修了した学生、日本で高校を卒業した学生の両方が出願資格を有しており、合否基準はさほど高くない印象です。

具体的には、1次審査の書類審査において、例えばAレベルの場合、「数学を含む3科目がC以上」という基準が設けられています。日本の高校成績については公開されていませんが、「中の上」程度の成績で十分ではないかと考えられます。さらに、IELTSで総合5.0、TOEFL iBTでは61という英語基準が求められ、比較的ハードルは低めです。また、エッセイの提出も必要です。

2次審査として、面接試験が行われます。前者のルートでは個別面談、後者ではグループ面談が実施されます。いずれもキャンパスでの対面面接となりますが、日本の高校生にとっては、少しチャレンジになるかもしれません。しかし、ここでも現時点では高度な会話力は求められていないようです。

現在の在籍生徒数は13名で、日本人とマレーシア人がほぼ同数在籍しています。初年度の募集は40名でしたが、短期間の募集期間でこの人数に留まっています。授業料は年間RM38,000(約125万円)で、他のマレーシアにある海外大学分校と同程度か少し安い水準です。


ここまでの話を聞いた私は、2年目以降、日本人学生の応募が増えるのではないかと感じました。正直、筑波大学の知名度がマレーシア人にどの程度浸透しているのか疑問です。かつては「ルックイースト政策」により日本や日本の教育に対する関心が非常に高かった時期がありましたが、現在はそれほどではないと思われます。筑波大学のQS世界大学ランキング2025における順位は377位で、他の海外大学分校であるモナシュ大学(37位)、サウスハンプトン大学(80位)、ノッティンガム大学(108位)に比べると大きな差があります。また、マレーシア国内の私立大学であるテイラーズ大学(251位)、UCSI大学(265位)にも後れを取っています。

しかしながら、日本人学生にとってはどうでしょうか?日本で大学進学を目指す高校生や保護者様で筑波大学の名を聞いたことがない方はまずいないですし、筑波大学に入学するためにはどれだけの努力が必要でしょうか?いや、多少の努力したから入れる大学ではありません。ところが、マレーシア分校では現状「定員割れ」となっており、初年度の実績とはいえ、高校で「中の上」くらいの成績と、英検2級相当の英語力があれば入学できる可能性は非常に高いと思われます。さらに、4年間の間に英語力が飛躍的に向上し、異国での学びや文化交流の経験を得ることができます。物価も安く、月々7〜8万円の生活費でやりくりできるため、日本の私立大学に進学するのと同じ程度の費用で留学生活を送ることが可能です。このような美味しい話が他にあるでしょうか?

筑波大学マレーシアキャンパスの設立理念としては、マレーシア人に現地で日本の教育を提供することが一つの目標であると考えられますが、実際には日本人学生の間で人気が高まるのではないかと感じています。

訪問の後半で大学施設も見学させていただきましたが、全体的にコンパクトながらラウンジスペースは抹茶カラーと和風のデザインを採用した独特な空間となっています。特に畳を使ったひな壇スペースには心が和みました。

最後に、弊社としては、筑波大学マレーシアキャンパスには多くの日本人スタッフがいるため、現時点では特別な入学サポートは必要ないと考えています。しかし、筑波大学マレーシアをきっかけに、日本の高校生やご家族、また教育関係者の間で、マレーシア留学への関心が広がっていくことを願っています。

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