マレーシア滞在中の医療費補償について2
前回に続いて、2について解説します。
「海外療養費」
海外渡航中に急な病気でやむを得ず現地で治療を受けた場合、加入する健保組合などの保
険者に申請手続きを行うことにより、海外で支払った医療費の一部の払い戻しを受けるこ
とができる。
これを健康保険の「海外療養費」と云います。国民健康保険や公的健康保険(共催含む)
に加入している人なら誰でも受けることが可能です。
ただし海外療養費支給制度を利用できるのは、1年以内の海外渡航者で、かつ海外へ転出
届を出していない方で健康保険に加入済みの方。 請求権は2年以内。(医療費を実際に支
払った日の翌日から起算)
請求は本人が帰国後、各保険者(組合など)へ必要書類を提出し、それがやむを得ない
事情と判断された場合、日本で受ける適用範囲に準じるかたちとなります。3割負担
であれば、支払われた医療費の7割までが還付されますが、実際に海外で支払った治療
費が必ずしもそのまま適用されるものではなく、保険者の「認定査定」によって日本に
おける治療費を参考に算出され、それをもとに7割となります。
例示しますと、
実際に海外で支払った医療費が10万円
認定査定による費用が7万円
7割還付として、70,000円×0.7=49,000円
となります。
請求には、診断書、医療費明細書、領収書などの翻訳と各保険組合の所定の還付請求申請
書が必要です。申請書に受診した医師の署名が必要なところもあるので、事前にもらって
おくことが肝心です。
海外療養費のポイント
健康保険に加入するには保険料の支払いと住民登録が必要です。ですので住民票の転出
届けを出している場合は健康保険に加入できませんので、上記適用外になります。
また、あくまで1年以内の海外渡航者が海外で事故・急病等に遭って支払った医療費が
対象ですから、健康保険加入者であっても、長期の海外滞在中の医療費が対象となるかは
保険者の判断によります。実際、私が以前訊ねた自治体では、実態として年間180日以上
海外に滞在し、それが1年以上にわたる場合は適用外となるでしょうと云われたことが
あります。