マレーで学ぶ 第5回 天国か地獄か 国際バカロレア

マレーシアの日本語フリーペーパー「Mタウン」の連載記事第5回の原稿です。


第5回 天国か地獄か 国際バカロレア
過去2回にわたり英国式カリキュラムについて説明しました。次にマレーシアで増えているのが国際バカロレア(IB)です。IBはスイスのジュネーブに本部がある世界共通なカリキュラムで、日本でも注目されIB認定高校やIB入試実施大学が増えていると聞きます。IBは「世界共通の成績表・受験資格」、「知識詰め込みではなく討論、探求型学習」「全人(オールラウンド)教育」などと表現されることがあります。
マレーシアのIB一貫教育校の場合、プライマリー(6年)、ミドル(5年)、ディプロマ(2年)というように進学します。大学受験を考えた場合、最重要な期間は何と言ってもディプロマの2年間です。ですから、中高まで他のカリキュラムで運営しながら、プレU2年間でIBディプロマを提供する学校もありますし、前回説明したように、大学がプレUコースの選択肢としてIBディプロマを提供する場合もあります。とにかくIBディプロマは高得点で取得すると、世界各国の有名大学が視野にはいる、オールマイティな資格と言えます。
それでは日本の留学生がIBディプロマを選択すべきか、というと、ちょっと答えに困ります。前述のとおりIBはオールラウンドプレーヤー、もっと言うとスーパーマンを目指した人材育成のため、要求が実に欲張りです。必修科目は最後まで6分野(6科目)で、その他にES(課題論文)、TOK(論理的思考学習?)、CAS(ボランティア等)という科目があります。日本で言う文系、理系の区別はありません。では「広く浅い」のかというと、そんなことはなく、上記6科目中3科目は「上級レベル」(大学1年レベル)を取らなければなりません。これがとんでもなく難しい。しかも6科目中、1科目でも落とすとディプロマ資格は得られません。つまり「広く深い」プログラムと言えます。(次回に続く)


小坂博志 プロフィール
Kuratabi Malaysia Sdn Bhd代表。外資系証券会社に20年勤務後、セミリタイヤの地としてマレーシアを目指したが、その調査活動がマレーシアビジネス起業へつながる。また外資系時代に日本人の英語力の弱さを痛感し、マレーシア留学を通じて日本人の国際化に少しでも貢献することがライフワーク。「まだガラキョー(ガラパゴス教育)続けますか?」がキャッチフレーズ。個人的にも、息子を小学校から大学まで国際教育一貫でグローバル&バイリンガル人材に育てた父親。

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