ホスピタリティ産業は南北から急成長? - 沖縄とニセコ
<2017年のインバウンド消費額>
日本のインバウンド・ビジネスは急成長を続けています。下の1番目の図のグラフを見ると分かりますが、2017年のインバウンド(訪日外国人)消費額は4兆円を超えました。これは5年前の約4倍になっています。
以下にありますように、都道府県別のインバウンド消費額が4月2日の日本経済新聞に出ていましたが、都市部の東京、大阪が断トツで1位、2位を占めているものの、北海道は堂々の3位となって京都府を上回り、また、8位に入った沖縄は5年前と比べ、実に8.5倍の成長を遂げています。
(4月2日付日本経済新聞朝刊より都道府県別インバウンド消費額)
順位 都道府県 消費額 2012年比
1 東京都 1兆6,862億円 4.2倍
2 大阪府 8,709億円 5.1倍
3 北海道 2,857億円 6.2倍
4 京都府 2,331億円 3.4倍
5 福岡県 2,207億円 6.8倍
6 千葉県 1,726億円 5.3倍
7 愛知県 1,649億円 3.1倍
8 沖縄県 1,583億円 8.5倍
9 神奈川県 1,446億円 2.7倍
10 静岡県 476億円 3.8倍
全国の合計 4兆4,162億円 4.1倍
<観光客数で沖縄がハワイを追い抜く!>
もう一つおもしろいデータがあります。下の2番目の図は2016年までのハワイと沖縄の観光客数の推移を表したグラフですが(ブル-ムバーグより)、沖縄がハワイにかなり近づいてきているのが分かります。そして、2017年は遂に沖縄の観光客数がハワイを追い抜きました!
しかしながら、観光客の平均滞在日数では、沖縄はまだハワイの半分以下ですし、消費額も沖縄の方が大きく下回っています。もちろん、沖縄は対策として、プライベート・ジェット受け入れも含めた空港機能拡張等のインフラ整備を行い、民間でも世界的ラグジュアリー・ホテルが相次いで進出して、消費額を増やすための富裕層の取り込みが進んで行く予定です。今後ともハワイを目標に沖縄のリゾート開発は一段と加速するでしょう。
<北海道ニセコの坪単価は都心並み!>
先月末、2018年の公示地価が発表されましたが、スキーリゾートの北海道ニセコの坪単価は都心並みとなり、その上昇率は30%超と全国トップです。ニセコについては以前のブログもご参照ください。(日本のホスピタリティ産業の今後 - 北海道ニセコビレッジから学ぶ)
ニセコはスキーリゾートとしてのブランドが確立され、外国人がニセコで開発されている高級コンドミニアムを競って購入しているため、海外からの資金によって地価が上昇しています。日本経済新聞によると、ニセコ・エリアの倶知安町で今秋完成するコンドミニアムの価格は全て1億円超となり、土地の坪単価は600万円と東京都港区並みだそうです。訪日客のために働く人達の住居も増えますので、それも地価上昇の一因でしょう。
ニセコはスキーリゾートのブランド化に大成功し、海外富裕層にとって、ニセコにコンドミニアムを持っていることがステータス・シンボルになります。シーズン中の観光客の滞在日数も消費額も多く、沖縄のかなり先を行っています。
<ホスピタリティ産業の成長は続く>
日本のホスピタリティ産業は成長の一途をたどっています。北に訪日客の取り込みに大成功したスキーリゾートを、南には今後の急拡大が見込まれるビーチリゾートを抱えており、これらの成長を見込んで、莫大な外国資本も流入しています。これからの問題は人材不足でしょう。特に、高度グローバル人材が不足しています。日本で最も成長している産業ですから、もし、あなたがマレーシアの大学のホスピタリティ関連学部で学ぶことをお考えであれば、その選択は決して間違ってはいないと言えるでしょう!