マレーシアのスキャンダルはとりあえずプラス要因と考えるか!
多くの方がご存知だと思いますが、現在マレーシアはナジブ首相のスキャンダルで揺れています。1MDBと呼ばれる政府系ファンドを通して、何と7億米ドル(850億円)がナジブ首相の個人口座に流れたとされる事件です。すでに特別調査チームが該当する6口座を凍結するところまで至っています。一方ナジブ首相は批判に対し「私は泥棒ではない」と全面否定し、1MDBが政治利用されいると主張しています。
どちらの主張が正しいか現時点では何とも言えません。ただこれだけ大きなスキャンダルはマレーシアのイメージダウンにつながるので(昨年の一連の航空機事故と同様)、このビジネス(マレーシア留学斡旋)にも悪影響を及ぼしかねません。
もちろんこの巨額の横領が真実だとすれば許しがたい犯罪行為で、こんなことを首相がやっている国に留学なんかするもんか、という気持ちになるのは仕方ありません。私もそういう気持ちになります。ただその気持ちをぐっと押さえて、プラス要因も考えみてはいかがか?というのがこの記事の趣旨です。
海外留学で最も大切な要素のひとつは、ずばり費用です。そして留学費用を決定する大きな要因のひとつが、為替レートです。マレーシアの場合、リンギットレートになります。
下の2つのグラフ(上が対円レート、下が対米ドルレート)をご参照ください。グラフの下へ行くほどリンギ安になっているという意味です。
対円で見ると(アップダウンはあったものの)2年前と水準があまり変わっていません。これは円もリンギもこの2年間他の通貨に対して下落しているからです。どちらも弱い通貨で、どっちもどっちだったということです。一方対ドルでみると、リンギが一貫して下落しています。2年間で約20%ほどの下落です。下落の主な要因は、原油価格の下落と最近のマレーシアの政治スキャンダルと言えます。
つまり昨今のスキャンダルのおかげでマレーシアの留学費用が米国留学に対して更に20%も割安になっている、と考えられるのです。(もともと割安だったので、「更に」を強調させてください。) 円が多くの通貨に対し切り下がっていく状況で、円と同等に下落基調の通貨は貴重な存在と言えます。
もちろん通貨の下落は潜在的にはインフレの元になりますので、いくらリンギが下落してもインフレで授業料が上がってしまえば、同じことではないか(あるいは更に不利になる可能性もある)、とも言えることは確かです。事実、本年4月のGST(消費税)導入移行便乗値上げもあり多少インフレ傾向にあるようです。
ただ、モノ(特に輸入品)の価格と異なり学費等の国内サービス価格へのインフレの影響は限定的と考えられますので、このリンギの下落を素直に喜こんでいただき、更に割安になったマレーシア留学を実践していただければと思います。多少強引になりましたが、本日の提案です。